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企業と生物多様性~JBIBと生態適応GCOEの意見交換会に出席して

2009.08.11(09:09) 186

 「ここ1~2年で、消費者の生物多様性に対する意識が変わってきている。」、「10年後、生物多様性を考えていない企業は痛い目を見る。」。これは、8月7日に行われた生態適応GCOE/JBIB意見交換会で出されたコメントです。
 持続可能な開発によって豊かな生物多様性と人間の暮らしを実現するという21世紀の課題に対して、企業の果たす役割は非常に大きいことは自明です。しかし、企業がどのように生物多様性に関わっていくのかは、ピンとこないですよね。今の社会の中では、ほとんどの企業がCSR(企業の社会的責任)以外の面で、生物多様性をビジネスチャンスとして活かす方法を見出せずにいると思います。しかし、そのような風潮を変えていかねば、あるべき未来はありません。
 JBIBは、生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まりです(詳しくはこちら)。現在25社が会員になっているようです。今後ますます増えていくはずだとか。今日は、JBIBと東北大学との意見交換会から得られた知見をおすそ分けしたいと思います。研究者と企業が生物多様性をめぐって今後どのような関係を築いていくべきかを考えるとてもよい機会になりました。
 会合では、各企業の活動の概要が紹介され、そのあとで意見交換が行われました。企業ごとの活動内容は本ページの最後にレビューしたいと思います。大まかにはビジネスと直結する活動内容として、企業が依存している生物資源を維持するため(生態系サービスの持続的な利用のため)の資源量調査や生態系保全・管理が挙げられ、CSR的(慈善的)な活動内容として、生物のホットスポットや絶滅危惧種が生息している森林の保全・再生事業及びビオトープや新技術による都市の緑化や社員・一般人への環境教育等が挙げられていました。
 意見交換の時間帯には、専門家からのアドバイスやコメント、企業側から取り組みにおける問題点や現状など様々な意見が出されました。その中で私が感じたのは、まだ意識の高い企業が先立って生物多様性に取り組み始めたばかりの段階であることもあり、生態学専門家と企業の間で興味や目的意識のずれがありそうだということです。専門家は、企業の取り組みを評価しながらも、科学的な根拠を基に評価・研究する意義を主張していました(例:企業が得た生態的なデータはその価値を活かすべく基礎科学研究に利用できるようにするとよい、企業の取り組みの一つ一つが生物多様性に実際にどのように生態系に変化を与えるのかをモニタリングし、客観評価する必要がある。上述のためには、各企業が取るべきデータのガイドラインを設けて、統一・共用することが望ましい等)。研究者同士では、「都市の中に局所的に点在する公園や緑地帯は、いわゆるIsland Modelの個体群のようなもので、その間の移動分散や個体の供給減である森林地域からの距離や生物の移動能力によって、生物多様性の各指数に違いが出ると予想でき、都市の生態系はそのような理論を実証できる場として期待できる」というような話をしがちです。それに対し、企業はあくまでも消費者の賛同を得られることや企業の資源を持続的に使えるように管理することが生物多様性への活動の動機付けになっている状況であり、消費者が理解できないような細かい科学的なデータを取る必要性を感じていないようでした。
 企業は当然、生物多様性も、地球温暖化=エコビジネス戦略のように、新しいビジネスチャンスになる可能性を見据えている、つまりブルーオーシャン戦略のターゲットとして注目しているわけです。しかし生物多様性というのは、CO2をどのくらい減らせば偉いというような単純な話ではないため、今後企業が中途半端な知識や行動で生物多様性に取り組むと、落とし穴にはまる危険性があることがわかりました。例えば、積水ハウスさんの取り組みで、樹木を移植することで都市の生態系の回復を図る取り組みがありましたが、この取り組みも実はまだ、本当にbiodiversityにpositiveな効果があるかどうかは誰もわからないという状況であるということです。林が無くなることも生態系の破壊ですが、林が新たに急に出現することも同時にそこにあった生態系にとってみれば撹乱であり、その際には何らかのバランスが崩れ、全体としてnegativeな影響が出かねないという専門家の指摘がありました。「例えば小笠原には10種の固有種がいたとする。この場所で種数が人の手によって20種に増えた場合、この取り組みが生物多様性を高くしたといってよいか?」当然、答えはNOなわけです。生物多様性には、その地域の固有性や、長い進化で築きあげられた歴史があるのです。単純に「生物の種数や個体数が多いということ=多様性が高い」とは必ずしも言えないのです。企業はこのことをしっかりと理解する必要があります。と、偉そうなことをいいつつも、生態学の専門家もBiodiversityとは?という根本的な部分での統一的な見解を出すことが困難であるという指摘もありました。
 いずれにしても、今後生物多様性に取り組む企業が指数関数的に増えていくと予想される中で、真に科学的に意味のある取り組みを行ってもらえるように、専門家の視点で生物多様性に関する評価基準やガイドラインのようなものを早急に作成する必要があることも挙げられていました。企業側も手探り状態であり、「やった方が良い気がするから、とりあえずやってみる。そしてあとで意味付けする」という段階であり、大雑把でもいいから生物多様性マスタープランのようなものを第三者が作成してもらえると動きやすい、という意見がありました。専門家はデータがないと評価のしようがないので、評価基準やガイドラインの作成のためには、やはり企業が取ってきた基礎的なデータの蓄積が必要なわけですね。企業と研究者の連携による実行は急務です。今回の会合で、専門家からは企業の取り組みに希望の光を見出しているようなコメントが多かったですし、企業が生態学者を頼りにしていることもわかりました。
 冒頭にも書きましたが、これからの企業の存続には、生物多様性は避けて通れないものとなりそうです。しかし、現段階で積極的な取り組みを行っている企業はほんのわずかであり、やっているのは余裕のある大手企業であるということです。生物多様性は商品価値を生みにくく、直接的にビジネスと関連付けにくいため、企業の多くは社会的責任や好感度アップという面でしか生物多様性にメリットを感じないと捉えていると思います。従ってお金のある企業は、生物多様性に貢献でき、消費者からも高く評価される一方、余裕のない企業はますます存続の危機にさらされるような、企業の南北問題が深刻化する予感もします。生物多様性と企業。今スタートラインに立ったばかりだと思います。課題が山積みであると同時に、方向性もまだ定まっていないというのが現状です。今後の動向に目が離せませんね。良い方向に進むように生態学の専門家が頑張る時が来ているみたいです。

*************企業と生物多様性、最前線*************
サラヤ株式会社
パーム油(アブラヤシ)は植物油として世界一の生産量をほこり、その用途は食品(クリーム、揚げ湯、マーガリン、インスタント麺、パン、菓子・スナック)から非食品(クッション材、プラスチック製品、化粧品、石鹸等)と非常に多岐にわたります。サラヤはパーム油に関わる製品を生産・販売しています。このパーム油を大量生産するためにアジア最大の熱帯雨林、ボルネオ島では、急速にアブラヤシのプランテーションが広がっており、生物多様性の宝庫が崩壊するという大問題があります。サラヤさんは、生物多様性を無視しては企業の存続はないと考え、様々な環境保全への取り組みをしているようです。
●RSPO(持続可能なパームオイルのための円卓会議)という環境や社会に配慮したパーム油産業の実現を目的にしているNGO団体に加入
●売上の1%をボルネオ保全トラストに寄付
●消費者と一緒に原料調達地の生物多様性保全を推進するキャンペーンを展開
●ボルネオ緑の回廊計画への支援

味の素株式会社
日本の食卓には欠かせない「味の素」。味の素グループの事業は農畜水産物、資源・エネルギー、遺伝資源と生物多様性・生態系の恵みに依存しており、グループの理念は「地球的な視野に立ち、“食”と“健康”、そして“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献する。」。 “資源をお預かりする” “いのちをいのちにつなぐ”というエコビジネスモデルと展開。今回の紹介では主に持続可能な資源調達として、“ほんだし”の原材料であるカツオの資源量を研究する取り組みを紹介(ちなみにカツオは身だけじゃなく頭も骨も100%有効利用している)。具体的には、専門家・研究機関、漁業者との連携で、実は全くわかっていないカツオの生態、資源量の調査支援を行い、資源・漁業の持続性を確保する活動を実施中。
●生物多様性を最も根本的な環境課題として認識し、事業を推進
●一次産業と連携して、生態系に負荷を与えない農・畜・水産業を支援・追及
●生物多様性に配慮した原材料・物品調達の促進
●地域の自然を残す事業所設計

積水ハウス株式会社
テレビのCMでよくお目にかかります。積水ハウスさんの取り組みは、大きく2点。取り組みの質の高さに非常に感銘を受けました。
●「5本の樹」による生態系保全
日本は気候風土の異なる地域が5つある。それぞれの地域の生態系を守る出発点となる樹という意味で5本である。地域ごとに適した在来の植物を選択し、消費者に植木として提供している。在来種を導入した庭の方が、外来種よりも、少なくとも15倍の生物多様性がある(らしい)。そのような庭を作ることで、生物多様性が維持され、きれいな鳥がやってきて、嫌な毛虫や害虫も食べてくれるというメリットがあると消費者に伝え、生物多様性をビジネスチャンスへと活かしていく試みをしている。さらに、「5本の樹」計画によって、里山や森と街(公園・庭)を生き物たちがネットワークをつくり、地域の自然を再生する目論みを立てている。2006年にはグッドデザイン賞を受賞、「21世紀の住宅メーカーのあり方をうらなう先進的なミッションのある提案。生態系を崩さない木をラインナップし、持続可能な社会に貢献している企業。費のンの街づくりに大きなインパクトを与える可能性のある企業」として注目されている。
●「木材調達ガイドライン」の運用
「違法伐採や焼き畑農業などによって、世界で年間1300万haもの森林が失われ、自然生態系や生活基盤の破壊が深刻化している。弊社は、持続可能な木材利用を可能にするため、環境に配慮し、社会的に公正なフェアウッド調達を推進しています。サプライヤーやNGOと協働し、木材調達レベルの向上に取り組んでいます。」(積水ハウス株式会社、持続可能性報告書2009年1月期)
 木材調達ガイドラインでは、合法性に加えて、生物多様性や伐採地の住民の暮らしまで考えた幅広い視野を持った10の指針を制定し、これらの調達指針ごとの評価点の合計で木材を4つの調達ランクに分類、評価が低い木材を減らし、良い木材(グットウッド)調達を進めている。生物多様性に関わる指針としては、②貴重な生態系が形成されている地域以外からの算出された木材を使っているか?③地域の生態駅を大きく破壊する、天然林の第伐採がおこなわれている地域以外から算出された木材か?④絶滅が危惧されている樹種以外の木材か?⑦森林の回復速度を超えない計画的な伐採がおこなわれている地域から算出された木材か?⑨自然生態系の保全や創出につながるような方法により植林された木材か?がある。サプライヤーである取引メーカー約60社に対して調達に関する実態調査を実施し、現状を把握し、各メーカーにグットウッドの調達を呼びかける。現在順調に改善が進んでいる。

株式会社竹中工務店
●建設プロジェクトによける地域生態系への配慮
都市における緑地創出とビオトープネットワーク性を評価し、緑地計画を促進する。
●生態環境に配慮した環境計画のための技術開発の推進
殺虫剤を使わないで害虫を管理するための技術の開発(例;バグバンパーやエアフラッシャー)や壁面緑化技術の開発など

清水建設株式会社
土地開発など建設業は生物多様性に直接的な影響を及ぼします。保護団体と建設会社は対立するのが常です。しかし、シミズさんは、建設活動が生態系に対して影響を与えることを前提に、常に生態系とのバランスを取り、その配慮に努めることをガイドラインとして生物多様性への取り組みを積極的に行っています。
●都市の生物多様性の再生
都市型ビオトープや屋上ビオトープ、屋上・壁面緑化、建物や生産活動に影響を与える生物の防除等
●工事により影響を受ける自然環境や生物の保全
道路を建設する代わりに、ニホンリスのためのエコブリッジやボックスカルバートを作ることで移動経路の遮断・消失を回避。猛禽類の生息に配慮したダム工事(ライジングタワー)を行う等

三井住友海上火災保険株式会社
生物多様性とは全く関係ないような企業も積極的に生物多様性に取り組んでいます。
●熱帯雨林再生プロジェクト
 紙をたくさん使う企業だから、使った分は地球に戻すことが自分たちの責任。ジャワ島の保護林の修復再生プロジェクトを実施し、目的達成状況を検証できるモニタリング仕組みづくりを行う。
●駿河台ビル緑地化の保全・活用と水資源の節約
 ハヤブサやヒメアマツバメ、コゲラ等10種類の野鳥が飛来する場所に緑地化を実施。都市内の緑地をつなぐこと(エコロジカルネットワーク)に貢献。
●企業と生物多様性に関わる啓蒙活動への取り組み
企業と生物多様性シンポジウムの定期開催・JBIBでの活動・ビジネスと生物多様性に関するイニシアティブ(B+B)への参加

株式会社リコー
リコーさんは1999年からすでに生態系保全のための森林保全プロジェクトを開始している日本で最も早くから生物多様性に取り組んでいる企業の一つです。ホームページも充実しています。環境NGOや地域とのパートナーシップのもと、土地固有の生物種の生息域や住民生活を守ることを目指して、持続的な仕組み作りに取り組んでいます。
●森林保全プロジェクト
○ロシアの北限のアムールトラの生息域保全with FoE JAPAN
○長野県黒姫、アファンの森保全(ヤマネ)with C.W. ニコル・アファンの森財団
○沖縄県やんばるの森保全(ヤンバルクイナ)with やんばる森のトラスト
○ブラジル ボアノバ森林復元(ハチドリ)with バードライフアジア
○フィリピン熱帯雨林回復(フィリピンワシ)with コンサベーションインターナショナル
○マレーシア オラウータン生息域保全(オラウータン)with WWF
○中国 三江併流 生物多様性保全 (キンシコウ)with アジア緑色文化国際交流促進会
○ガーナ 熱帯雨林回復(マルミミゾウ)withコンサベーションインターナショナル
●環境ボランティアリーダー養成プログラム「自然教室・野外編&学習篇」
社員へ生物多様性保全活動の指導により活動を企画できるリーダー養成教育
●子供向け環境website 「テンペル・タットルストーリー」
●生物多様性行動ハンドブック作成
●リコー環境ポータルサイト Gaiaia
●企業と生物多様性に関わる啓蒙活動への取り組み
リコー環境月間シンポジウム各年開催・JBIBでの活動・ビジネスと生物多様性に関するイニシアティブ(B+B)への参加





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