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生物多様性オフセットの可能性

2009.11.19(14:11) 243

以前、生物多様性のオフセット勉強会に参加して、そこで勉強したことをブログに書くと言っておいて、書いていませんでした。ちょうど必要に迫られてまとめてみたので、アップします。長文ですが、勉強になると思います。参考文献(生物多様性読本、環境アセスメント学会誌7(2):1-7.2009, 田中章著、「生物多様性オフセット制度の諸外国における現状と地球生態系銀行”アースバンク”の提言」)

 アメリカの国家環境政策法の第2条第2項には、「環境及び生物環境に対する破壊を防ぐまたは除去する」ことがあり、実質的なミティゲーションを実行するのが環境アセスメントの主目的であることが示された。ミティゲーションには、「回避」「最小化」、「代償」の方策が設置されており、重要度が高いハビタットに関しては、No Net Loss、比較的多く残存するハビタットには、No loss(代償ミティゲーションの義務)がそれぞれ規定されている。このような代償ミティゲーション、つまり生物多様性オフセットは、アメリカ以外のドイツ、オランダ、イギリス、オーストラリア、カナダ、メキシコ、韓国、タイ、インドと国レベルの政策としての規定がある。しかし、日本国内では、環境影響評価法には、「回避」、「低減」、「代償」の明確な定義が示されておらず、その意思決定における優先順位もあいまいであるため、回避ミティゲーションや代償ミティゲーションが行われるまでには至っていない。来年の10月に行われる生物多様性条約会議の議長国である日本が、このような現状でいていいのだろうか?
 さて、前置きが長くなったが、ここで本題に戻りたい。今グローバルスケールで生物多様性の保全の重要性が取りあげられているが、保全活動を普及するにあたって非常に大きな壁となっているのは、何を持って生物多様性の高さを評価するかである。地球温暖化の問題であれば、単純にCO2の排出量であり、グローバルに統一できる。しかし、生物多様性は、気候区分や大陸等、あらゆる地域ごとに固有であり、深い進化の歴史がある。単純に地域内の種の多さが生物多様性の高さではない。固有種が多く生息する小笠に全く別の生物を移入して、生物種数を多くしたら大問題である。
近年、企業の活動の中でも生物多様性の保全が、社会的責任のみならず、自社の存続・発展の上で避けて通れない課題となってきた。とりわけ都市域における企業の土地利用上の環境保全措置が、No Net Loss、さらにはNet Positiveであることを証明しなければいけない時代が来ている。つまり、生物多様性のオフセットでは、開発事業等による生態系の破壊と生態系復元事業等による生態系の復元や確保が同等であること(ノーネットロス)を少なくとも定量的に評価する必要がある。
 このような評価において世界中で最も使われているのが、HEP(Habitat Evaluation Procedure)である。日本語で、「野生動物の生息環境評価手続き」である。HEPは、わかりにくい生態系の概念を野生生物の生息環境という誰でもわかりやすい、土地の広がりと直結した概念に置き換え、生態系に及ぼされる人間活動の影響を野生動物の生息環境の適否として総合的に定量評価する手続きである。「総合的」というのは、生息環境の餌条件や繁殖条件などの「質」的な条件、そのような質を持った「空間」の広がり、そのような空間が存在する「時間」という3つの視点から評価する。生物のハビタットの価値を算出するのは容易ではないが、植生評価指数やハビタット適性指数が用いられる。
 例えば、ある生態系を代表する種に注目し、指標とする。例えば希少なウサギの例をあげる。ウサギにとってその場所が生息できるかどうかは、森の被度によって変わるとすると、この情報によって森の被度に対してウサギの住みやすさ指数を算出できる(SI)。ウサギは森だけではなく、複数の環境要因で暮らしている。このような複数のSIモデルを作成し、総合して「ウサギの生息環境質(HSI)」が算出される。この質に面積をかけると生息環境の価値(HU)となる。もし、企業が開発事業を行えば、HUは減少する。これがネットロスとなる。一方、この企業が隣接地で自然を復元した場合、生息環境の価値が上がり、これをネットゲインという。ネットロスとネットゲインの値が同じように企業が事業を行えば、No Net Loss,ネットゲインのほうが高くなれば、Net Positiveになる。日本では、日本生態系協会が、日本のハビタット評価認証制度を設け、ハビタット評価JHEPというHEPの簡易版を作成し、普及を図っている。
 なお、複数企業がばらばらにオフセットすれば、復元された緑はばらばらに存在し、野生動物の生息地は孤立するので、ミティゲーション・バンキングの仕組みによって、あらかじめ第三者が自己資金で土地を確保し、緑の回廊を作るように計画的に自然を復元しておき、この地域に進出した開発業者に自然復元の成果(クレジット)を売ることで、効率よく生物の生息地を保全することができる。
 このような仕組みを地球規模へ拡張する必要性を主張している研究者もいる。日本では、東京都市大学の田中章博士が、地球生態系銀行“アースバンク”の提言を主張している。地球環境問題は、Economicallyに富める先進国とEcologicallyに富める発展途上国との間の南北問題である。国境という境界はあっても、突き詰めれば地球生態系という閉じた一つの生態系をどうやって持続させるかという問題である。規制による保全施策だけでは限界があり、市場の勢いを利用した経済的インセンティブはより効果的である。このことから生態系保全施策である生物多様性オフセットを中心として、カーボンオフセットなどと融合したバンキングシステムの必要性が近い将来出てくるのではないかと、博士は述べている。自然資源の豊富な発展途上国と工業先進国との間で、環境に悪影響を与える行為と環境に良い影響を与える行為にクレジット化を行い、それらの柔軟なトレードオフを可能にさせるような国際的な「アースバンク」の可能性があるかもしれない。
 このようなグローバルな政策が、来年の生物多様性条約会議で議論される可能性もあり、日本のイ二シアティブが試される。実体のある政策となるように大いに詰めていってほしい。




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